遺言書だけでは足りないところも

遺言は、生前に相続の備えておく最も一般的な方法ですが、それ以外にも生前又は老後に備えておく方法が色々とあり、それらを総称して「老い支度」や「終活」といったりします。遺言は遺言者が亡くなってから効力が発生するのですが、こういってはなんですが遺言を書いてから何十年も生存し続けてはその間なにも効果がない状態となってしまいます。そういった状況にもまた備えがあれば憂いなしということでほかの内容のものも注目されています。
 生存中に利用されるものとしては、判断能力がなくなった時に自分の代わりに管理してくれる人を選ぶための任意後見契約、判断能力は問題ないけど寝たきりなどの身体に問題が起こった時のための財産管理契約、頭も身体も大丈夫だけど定期的に自分の状態を確認してもらう見守り契約などがあります。そして、見守り契約、財産管理委任契約、任意後見契約、家族信託とかよばれている信託など多様化してきています。
また、死亡後に効力を発揮するものとしては、遺言の他に、死んだ後の事務処理をお願いしておく死後事務委任契約などがあります。死後事務委任は、自分の死後を頼める親族がいなかったり、家族と仲たがいや信仰の違いから自分の望むような葬儀等をしてくれないような場合に利用されます。
 さらに、尊厳死宣言などもありまして、これは死期が迫っている時に、延命はやめて緩和ケアだけして穏やかに死なせて欲しいと意思を表明しておくものです。
その他として、エンディングノートというものもあります。法的な効力はありませんが、本人にとって終活の手がかりになったり、本人の死後に家族にとっての相続の手がかりとなる有効な方法です。

投稿者プロフィール

稲垣 順一
稲垣 順一
特定行政書士
申請取次行政書士
海事代理士
2級ファイナンシャルプランニング技能士